妊娠・出産・育児

原因と経過
妊娠週数がすすみ、子宮が大きくなるとからだの重心は前方に移動し、バランスをとるためにからだを後方に反らすようになります。
そのため、腰椎の自然な湾曲は過度になり、背中の筋肉が緊張状態になります。
また、妊娠に伴う体重の増加は腰部の筋肉に持続的な負担となります。
さらに、妊娠にともなうホルモンの増加により、靭帯やそれをささえる組織、筋肉は柔軟となりゆるみため、骨盤や背骨がずれたり、脊柱を支える組織の機能が低下し痛みを感じます。
妊娠中はどうしても運動不足になりがちで、筋肉が衰え、正しい姿勢を保つことができなくなり腰痛を招くことになります。

症状と症状を悪化させる因子
腰部と臀部から大腿部にかけての痛みの訴えが多く、なかには歩くときに支障をきたすこともあります。
妊娠各期で約50%の人が腰痛を訴え、妊娠末期になるとその割合は増加します。
腰痛の経過は一度消失しても再燃することが多く、60%の妊婦さんにみられます。

腰痛が出現する誘因は、前かがみにしゃがんだときなどにみられ、次のようなことが症状の悪化に影響するようです。
・睡眠不足・休息不足
・悪い姿勢や誤った姿勢
・長時間の同一姿勢
・身体にあわない靴
・姿勢に悪影響を与えるような机やいすなど
・腰痛を症状とする既往症がある
・妊娠に伴う腰痛に関する認識不足


アドバイス
・長い時間の歩行は避ける
・深く腰掛け、正しい姿勢でいるよう心がける
・ハイヒールやヒールがないものはさけ、ローヒールのものを選びましょう
・妊婦体操や妊婦水泳などの運動で骨盤周囲の靭帯のゆるみを防ぎましょう
・家事や仕事の際、ものを動かしたり持ったりする動作に注意しましょう
・長時間の同一姿勢は避けましょう
・かための寝具を選びましょう
・マタニティガードルでおなかを支えることで痛みを和らげることができます
・痛みがある部位をご主人に優しくマッサージしてもらいましょう

気をつけて！
痛みが強い場合は、ヘルニアなど他の病気が疑われますので医師に相談しましょう。