妊娠中、卵巣や胎盤から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンの働きで乳腺が発育します。
一方では、これらのホルモンが乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンの作用にブレーキをかけていて、妊娠中に母乳分泌が起こらないよう抑制されています。
このように妊娠中はホルモンの働きで抑制されていた母乳分泌も分娩後、赤ちゃんを出産するホルモンによる抑制がとれ分泌がはじまります。
[母乳の出るしくみ]
@分娩で胎盤が体外に排出されると、胎盤から分泌されていたエストロゲンとプロゲステロンは急激に減少します。
Aエストロゲンとプロゲステロンの減少により、乳汁の分泌抑制がとれ、プロラクチンが乳腺に活発に働きかけ乳汁の生産を始めます。
B生産された乳汁は乳管を通って、いったん乳管洞に蓄えられます。
乳頭の筋肉は乳汁が溢れないよう収縮しています。
C乳頭には刺激に敏感な知覚神経が集まっており、赤ちゃんが乳首をくわえ、吸う刺激により、乳頭の筋肉はゆるみます。
D赤ちゃんの吸う刺激が、視床下部を刺激し下垂体後葉からオキシトシンが分泌されます。
Eオキシトシンは乳腺を取り囲んでいる筋肉を収縮させて、乳汁を乳房から積極的に押し出します。
この状態を射乳といいます。
このように、母乳分泌には赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激が大きくかかわっています。
さらに、オキシトシンというホルモンは子宮を収縮させる作用があり、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことは子宮復古の手助けになると言えます。