昔から、母乳を飲ませていると妊娠しないといわれてきました。
確かに、産後しばらくは子宮の回復や母乳の分泌に必要なホルモンが分泌されるため排卵が起こりにくく、月経も再開しません。
産後の月経・排卵の再来に関して多くの研究がなされ、授乳期間と産後の無月経は正の相関にあるとはいわれています。
しかし、その反面授乳中であっても月経の再開にはばらつきが大きいことも事実です。
それには次のような因子が影響するといわれています。
*授乳の有無、授乳の期間、離乳開始の時期、回数、量。
*（母体側の因子として）年齢、出産回数、栄養状態。
*妊娠・分娩期間での疲労のレベル、児の健康状態。
ある研究においては、母乳を飲ませていない場合２〜３ヵ月で、母乳を飲ませている場合は５〜６ヵ月で半数の人が月経の再開をみたという報告があります。
しかし、母乳を飲ませているにもかかわらず産後１ヵ月で月経の再開をみたり、ミルクで育てているのに１年以上月経がない人がいるのも事実です。
このように月経の再開は予測がつきません。
すなわち、お産後はいつ排卵が起こるかわからないということです。
このことはお産後に子が始まれば、妊娠する可能性があることを考えなければならないということです。
月経がないとつい避妊を怠りがちですが、排卵は月経の前に起こることを忘れずに、夫婦でしっかりと家族計画を立て、望まない妊娠で悩むことのないようにしましょう。
また、産後に使用でき効果的な避妊は限られていますので産後の診察のときにでも相談してみてください。
分娩後１年以上経過して、授乳を中止したにもかかわらず月経が再開しない場合は受診して相談してみましょう。
