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妊娠に伴う消化器系の変化

消化器の変化食欲と食習慣
妊娠初期には悪心、嘔吐がみられるため、妊婦は一見食欲不振と考えられがちなのですが、悪心の波が過ぎ去れば食欲は非常に亢進するのが常です。また、食物の質的な変化も著しく変化し、非妊時とは嗜好が大きく変ることが多い。とくに果物や香りの強い食物を好み、油で揚げた食物は受け付けなくなることがあります。
妊娠初期の悪心、嘔吐、いわゆる”つわり”はほとんどの妊婦さんが経験します。重篤な妊娠悪阻にならなければ多くは妊娠15〜16週ごろまでに自然に治ります。原因ははっきりしませんが、妊娠に対する恐怖、不安、精神的ストレスなど心因的なものが誘因となるといわれています。一方、妊娠悪阻は病的で、体重減少、脱水、血液濃縮、尿中ケトン体陽性となり、点滴、入院治療が必要となることがあります。

消化器の変化口腔
「一子を産めば一歯を失う」などといわれる、妊娠が妊婦さんの口腔内の環境に影響を与えることは知られています。
齲蝕(虫歯)の原因は、歯面上で増殖したプラーク中の齲蝕細菌が産生した乳酸などの酸が、歯牙のエナメル質を脱灰することによります。
妊婦は妊娠初期つわりが落ち着いたあとは食欲が亢進するため、間食や食事の回数が増え糖分摂取が頻繁になり、齲蝕になりやすい環境にあります。さらに唾液の酸性化、胃液の逆流による口腔内の酸性化なども相まって口腔内の清潔を保ちにくくなることが齲蝕の誘因と考えられています。また、妊娠性歯肉炎にも罹患しやすくなります。ですから妊娠中は口腔衛生に注意し、疼痛を起こしそうな齲蝕は、妊娠5〜7ヵ月の安定期に治療しましょう。

消化器の変化食道
妊娠中は増加するプロゲステロンによる影響が強く、その平滑筋弛緩作用により消化管の蠕動運動が低下し、胃内容の食道への逆流をきたしやくなります。
半数以上の妊婦は食道部の不快感、いわるる”むねやけ”を妊娠後半期に訴えます。食道の蠕動運動は低下し、噴門部括約筋は弛緩します。
さらに、妊娠子宮の増大により胃が圧迫され胃内容が上昇するため、酸性の胃内容物が食道n逆流しやすくなり、いわゆる逆流性食道炎がおこり、むねやけが発症します。治療としては制酸薬の投与がおこなわれます。

消化器の変化
胃は子宮の過度の伸展に圧迫されて妊娠後半には転位し、横隔膜下で左下方に押し上げられて軸45度回転しています。
妊娠中はプロゲステロンの増加と妊娠子宮の増大による機械的圧迫により胃の運動性が低下し、胃内容排出時間が遅延すると考えられていましたが、最近では妊娠中にはとくに運動性は低下せず、分娩時に著明に低下し、胃内容の排出が遅延するものと考えられています。また、胃酸の分泌は妊娠中期までは低下することが、妊娠後期には増加するため、分娩時の全身麻酔は胃内容の逆流による嚥下性肺炎を起こす危険性が高いので、とくに注意が必要となります。

消化器の変化
妊婦の多くは便秘を訴えますが、これは弛緩性便秘と直腸性便秘によるものです。弛緩性便秘はプロゲステロンの増加による腸管の運動性の低下により、直腸性便秘は妊娠子宮の増大による器械的圧迫により大腸での排出遅延が起こり、便の水分が普通以上に吸収されるために起こります。便秘の予防には、規則正しい食習慣、繊維質の多い食物の摂取が大切ですが、場合により緩下剤投与なども必要です。
妊婦に起こりやすい合併症として、痔・脱肛があります。妊婦は子宮の増大のため下肢や骨盤内に静脈瘤が発生しやすく、これに便秘傾向も加わって痔になりやすいのです。予防としては、便秘を防ぎ、アルコール、香辛料やコーヒーなどの刺激物は避け、必要に応じて座薬、軟膏を用います。

消化器の変化肝臓
肝臓は妊娠末期には増大した子宮により横隔膜下、上後方に圧排されるため触知しにくくなるが、その容積に変化はみられません。
肝血流量はほどんど不変であるのに対して心拍出量や循環血液量は増加するため、相対的に肝血流量は約35%減少します。その結果、肝臓で代謝される諸物質のクリアランスは低下すると考えられます。
肝機能検査には妊娠により影響を受けるものが多い。
妊娠経過中に増加するものとしては、酵素では、アルカリフォスファターゼ(ALP)、ロイシンアミノぺプチターゼ(LAP)、乳酸脱水素酵素(LDH)などがあります。
妊娠経過中に減少するものとしては、、総蛋白、アルブミン、プレアルブミン、およびA/G比などがあります。
妊娠中に影響を受けないものは、黄疸指数、膠質反応(CCL,TTT,ZTT),GOT,GPTなどトランスアミラーゼ、γーグルタミントランスぺプチターゼ(γーGTP),プロトロンビン時間、HDL-コレステロールなどがあります。

消化器の変化胆嚢
妊娠中はプロゲステロンの作用で胆嚢の収縮は抑制され、胆道も妊娠子宮により圧迫されるため胆汁排出が遅延し、胆汁うっ帯が起こり胆汁は濃縮する。そのうえ、コレステロール値が上昇するため、コレステロール結石が起こりやすい。

消化器の変化膵臓
妊娠中は膵炎の分泌が増加し、リパーゼやトリプシン活性も上昇する。この結果、妊娠中に増加した中性脂肪リパーゼにより分解され、生じた遊離脂肪酸により血管内皮障害が起こり、急性膵炎の一因となることがある。
妊娠の膵内分泌機能に及ぼす影響は、とくに妊娠後期になると著しく、空腹時の低血糖と高血脂血症、摂食後の高血糖と高インスリン血症が特徴です。これはインスリン拮抗ホルモンと母体のインスリン抵抗性の増大によるものと考えられています。インスリン分泌の増加は、妊娠中増加するhPL、プロラクチン、エストロゲン、プロゲステロンなどによるため、これらの変化は分娩後すみやかに非妊時の状態に戻ります。

消化器の変化虫垂
妊娠中の虫垂は子宮の増大により次第に右上方へ移動します。そのため妊婦の虫垂炎は妊娠週数により圧痛を感じる場所が移動すつため注意が必要です。

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