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妊娠に伴う体温調節の変化

妊娠に伴う体温調節の変化体温調節
人間をはじめとする恒温動物は、外界の温度に関係なく自らの体温を一定に保つ機能をもっています。そして、その体温は熱の産生と放散によって調節されます。
たとえば、暑い時には皮膚の血流量が増加し、汗をかき体内に蓄積した熱を外気に放散するし、寒いときには皮膚の血流量を減少させ、体内の熱を外気に放散しようとします。また、筋肉を震わせ、筋肉により産生した熱を体内に取り込もうとする(対寒反応)、皮膚や体内にある温度感受受容体により、視床下部にある温度中枢が自らおかれた温度環境を感知し、体温調節をおこなう指令を神経を通じて身体各部に向けて発し、これらの体温調節反応が生じます

妊娠に伴う体温調節の変化熱産生、放散と体温調節
熱産生には身体活動による熱産生、食事による熱産生、寒冷環境下における熱産生がある。身体活動や食事による熱産生は、妊娠によって変化することはありません。
一方、熱放散には、呼吸による熱放散と、体表面からの熱放散とがあり、体表面からの熱放散には放射、伝道、対流、蒸発があり、妊娠による血管拡張のため、体表面からの放射による熱放散は多くなると考えられます。しかし、妊娠週数が進むに伴い、体表面から熱放散は少なくなる傾向にあるといえます。
体温調節は神経系と内分泌系を介して行われます。
妊娠初期はプロゲステロン活性が高く、そのため体温が高くなっていると考えられます。

妊娠に伴う体温調節の変化低体温に対する体温調節
低体温とは、一般的に核体温が35℃以下になった場合をいいます。
低体温にならないための体温調節として、筋肉の震えによる熱産生と、褐色細胞の代謝が亢進し脂肪分解による非震えによる熱産生があります。
麻酔などの際、筋肉や脂肪代謝による体温調節機能がなく、妊娠時には非妊時より血管が拡張しえいるため、妊婦は麻酔により低体温に陥る可能性があるとされています。
胎児自身も熱を産生するため、妊婦の体内での熱源となり、妊娠後期になると子宮内で成長した胎児の産生する熱が増加し、このことにより妊婦が寒冷刺激に絶えられると考えられています。また、妊娠週数とともに増加する皮下脂肪のため、熱放散が少なくなることもあると考えられます。

妊娠に伴う体温調節の変化高体温
環境の温度が高くなると対暑反応が起き、熱放散が増加します。発刊、あえぎなどによって体内から熱を蒸散し、皮膚血管を拡張することで皮膚温を上昇させ、外気に熱を放散します。さらに、脱衣や低温環境への移動をとり対応します。
激しい運動をおこなったときや、周囲の温度が皮膚の温度以上になった場合には、環境から体内に吸収される熱のほうが放散される熱量より多くなり、体温は徐々に高くなって高体温になります。
高体温は、従来より胎児に対し催奇形性作用があることが危惧されています。
高体温と児の催奇形の関係についてはさまざまな報告がり必ずしも児に奇形を誘発するわけではありません。
妊娠初期にはプロゲステロンのはたらきにより高体温状態が持続し、対暑反応も鈍い可能性があるため、発熱する病気に罹った場合や、激しい運動を長時間行った場合には、体温が上昇しやすいことが予測されますから十分な配慮が必要とされます。

妊娠に伴う体温調節の変化胎児の体温調節への影響
胎児の体温に影響を与える因子としては、妊婦の体温、胎児自身の代謝活性、子宮血流量などがあげられます。このうち、胎児に対して最も大きな影響を与える因子は母親の体温だといえます。
胎児の体温は妊婦の体温に依存しており、常に0.5℃程度妊婦よりも高く維持されています。
胎児は成育、成長を続けるなかで、常に胎児自身の代謝による熱を産生します。熱は臍帯の血液や胎児の皮膚を通して、羊水、子宮壁から妊婦の体内に放散し、胎児体温を調節しています。胎児自身には自律した体温調節機構はまだ出現していないため、胎児体温を保つためには、この熱放散経路が非常に重要だといえます。
ところが、妊婦の発熱時など母親が高体温になると、このバランスが崩れてしまいます。たとえば、妊婦の発熱時には羊水温も同時に上昇するため、胎児の産生する熱のうち、羊水へと放散される熱は少なくなり、胎児の体内に熱が蓄積するため、胎児の体温は上昇し、胎児は高体温となります。
さらに、妊婦の発熱時などでは胎児の酸素消費量は増加し、胎児の温度が0.3℃上昇すると、胎児の酸素消費量は4%増加し、胎児の酸素を利用する代謝は活発になり、胎児の体温はますます上昇することになります。
臍帯血流や子宮血流量は妊婦の高体温時に減少します。

妊娠に伴う体温調節の変化胎児保護のメカニズム
妊婦の高体温には胎児にとって好ましくない反応が生じますが、胎児を保護するためのさまざまな代償機構が働くことがわかっています。
高体温により、胎児は母体から酸素摂取が行いやすくなる。また、子宮血流量は減少するが、おもに子宮筋腫層を栄養する血流が減少し、胎盤を流れる血流量はさほど変化しないといわれています。

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