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妊娠に伴う内分泌系の変化

妊娠に伴う内分泌系の変化卵巣機能
胎盤せ産生される大量のエストロゲンとプロゲステロンにより視床下部での刺激ホルモン(ゴナドトロピン)放出ホルモン(GnRH)分泌が抑制され、妊娠初期から血中卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)レベルは低下し、妊娠中期から末期にはGnRHに反応しなくなります。
分娩後、授乳中はプロラクチンによってFSHに対する卵巣の反応性が抑制されていますが、授乳を中止しプロラクチン濃度が低下すると、FSH分泌が増加すると同時にFSHに対する卵巣の反応性が回復し、エストロゲン産生が開始します。さらに、このエストロゲンに反応して視床下部でのGnRH分泌が増加し、LHの放出が一過性に上昇します。
プロラクチンは、分娩後も授乳中は高値ですが、授乳を中止すると約2週間で非妊婦のレベルに回復します。これにより、FSH,LH分泌が回復し、排卵周期が回復します。

妊娠に伴う内分泌系の変化乳腺機能
プロラクチン濃度は、非妊時の20ng/ml以下から妊娠末期には200〜300ng/mlまで増加します。高濃度のプロラクチンは胎盤や副腎由来のエストロゲンやコルチゾールとともに乳腺を発達させ、分娩後の授乳に備えます。プロラクチンは乳汁分泌に作用し、射乳は分娩後に下垂体後葉から乳頭刺激によって分泌が増加するオキシトシンによって調整されています。

妊娠に伴う内分泌系の変化甲状腺機能
妊娠初期には下垂体からTSHののほかに、胎盤から甲状腺刺激作用をもつhCGが大量に分泌されるため、やや抑制され低下しますが、おおむね正常非妊婦の基準値内にとどまります。また、胎盤かあ分泌されるエストロゲンにより母体血中に増加した甲状腺刺激ホルモン結合グロブリン(TBG)と平行してT3、T4血中濃度は増加しますが、TBGに結合される部分が増えるので遊離型T3(fT3)、遊離型T4(fT4)はむしろ妊娠中期以降は低下します。
妊娠が終了すると胎盤由来のエストロゲン濃度が急速に低下するためTBG濃度も減少します。TBGが低下するとそれまで結合していたT3、T4が血中に遊離型で放出され、fT3、fT4濃度が増加します。したがって、分娩前に甲状腺機能亢進症があり十分にコントロールされていなかた場合などは、分娩後に大量のfT3、fT4が血中に放出されることとになり、甲状腺クリーゼをきたすことがあるため注意が必要です。。

妊娠に伴う内分泌系の変化副甲状腺機能
血清中のカルシウム濃度は副甲状腺ホルモン(PTH)とビタミンDによって精密に調節維持されています。
ビタミンDは経腸管的に食物から吸収されますが、日光紫外線照射によって皮膚でも合成されます。
活性型のビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を促進し、また骨吸収を促進します。
副甲状腺はPTHを分泌しますが、この分泌は低カルシウム血症で促進され、高カルシウム血症、低マグネシウム血症で抑制されます。
妊娠中は胎児の発育にみあう25〜30gのカルシウムが胎盤を介して母体から胎児側へと輸送されます。腎臓および胎盤で産生された活性型ビタミンDの作用により母体の腸管からのカルシウム吸収は増加します。
妊娠中には母体血中PTH濃度はやや減少しますが、胎盤およぼ胎児副甲状腺でされるPTH関連ペプチドが増加するので、両者の総和として母体のカルシウム代謝は亢進し、胎盤での胎児へのカルシウム輸送を維持しています。
急速に発育する胎児ではカルシウム代謝が活発に行われています。胎児の副甲状腺は胎齢6週には認められ、骨格へのミネラル沈着は8週までに認められるようになります。

妊娠に伴う内分泌系の変化下垂体ゴナドトロピン(LH,FSH)
胎盤で産生される多量のエストロゲンなどにより下垂体ゴナドトロピン分泌は抑制されます。LH、FSH分泌は、妊娠初期でもわずかに認められるが、妊娠2ヵ月で完全に抑制されます。
下垂体機能を抑制する胎盤ホルモンは性ステロイドホルモンとhCGで、とくにLH分泌の抑制はエストロゲンが主体です。
抑制された機能が回復するには産褥1ヵ月を必要とします。

妊娠に伴う内分泌系の変化性ステロイドホルモン(エストロゲン、プロゲステロ)
卵巣の妊娠黄体から分泌される性ステロイドホルモン、とくにプロゲステロンは妊卵の着床過程に重要ですが、妊娠成立後もその維持に作用します。
後10日前後から、血中プロゲステロン値は、非妊時の黄体期の値より高値となり、妊娠経過とともに漸増します。増加した性ステロイドホルモンにより、性中枢は抑制されるため、性周期が失われ排卵は停止します。
性ステロイドホルモン産生は妊娠10週前後までは妊娠黄体が主体となるが、その後は胎盤がおもに産生します。

妊娠に伴う内分泌系の変化下垂体副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
妊娠末期の血中ACTHは、非妊時に比べて高いレベルにあいます。これは分娩時のストレスに備えていると考えられています。
胎盤から産生されるCRHがACTH分泌促進に関与しています。

妊娠に伴う内分泌系の変化糖質コルチコイド
ACTHに対する副腎の反応は非妊時に比べて亢進しているとされ、分娩時にはコルチゾール分泌が増加します。母体血中総コルチゾール濃度は、妊娠経過とともに上昇し、妊娠末期には非妊時の約2.5倍となるが、これはエストロゲン上昇によります。

妊娠に伴う内分泌系の変化鉱質コルチコイド
妊娠中はレニンーアンジオテンシン系の機能は亢進しており、アルドステロンの分泌は増加する。アルドステロンは、腎遠位尿細管においてNa再吸収、K分泌を促進することにより細胞外液を増加させる作用をもっており、水・電解質代謝を調整しています。

妊娠に伴う内分泌系の変化下垂体甲状腺刺激ホルモン(TSH)
TSHの基礎分泌は妊娠経過に伴う変動はなく、非妊時の正常範囲内からやや高めのレベルです。TRHに対する下垂体の反応性にも変化は認められないが、妊娠末期においてやや低下する程度です。

妊娠に伴う内分泌系の変化甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモン(T3・T4)は間脳ー下垂体ー甲状腺系で調整されています。
妊娠時は胎盤から分泌されるhCTが甲状腺刺激作用をもち、非妊時の調整機構が修飾が加わるが、正常妊娠では血中遊離型甲状腺ホルモンのわずかな変動がみられるにすぎません。hCHにも甲状腺刺激作用が認められますが、その作用は弱いものです。妊娠nよる血中総T3、T4濃度は初期から増加し、末期まで高値です。これは、胎盤かあのエストロゲンにより、肝臓で産生されるサイロキシン結合グロブリン(TBG)が非妊時の2倍まで上昇するために、結合型甲状腺ホルモンが増加するためです。遊離型T3、T4濃度は妊娠初期から増加しますが、その後漸減し、非妊時と同程度かやや低値にとどまります。

妊娠に伴う内分泌系の変化成長ホルモン
妊娠中の血中GHの基礎分泌レベルは非妊時と変わりませんが、アルギニン負荷テストでは分泌予備能の低下がみられます。

妊娠に伴う内分泌系の変化プロラクチン(PRL)
PRLは下垂体から分泌される蛋白ホルモンで、主要な作用は産褥期における乳汁蛋白の合成、乳汁産生です。
PRL受容体は、乳腺以外にも肝臓、子宮、卵巣などに分布しており、PRLの作用も、黄体機能維持、子宮内膜増殖、水・電解質代謝など多彩です。
妊娠経過に伴い、血中PRLレベルは漸増し、妊娠末期には300ng/ml以上と、非妊時の約10〜30倍の高値を示します。妊娠中にはPRLは高値ですが、エストロゲンとプロゲステロンの拮抗作用により、乳汁分泌は起こりません。産褥期にはこれらの拮抗作用が消失するため、乳汁分泌が開始されます。

妊娠に伴う内分泌系の変化オキシトシン
下垂体後葉から分泌される神経内分泌ホルモンです。生理作用として、射乳作用と子宮収縮作用があることは知られていますが、これ以外に、母性行動、記憶に対する中枢作用、脳内神経伝達物質として作用、に対する作用などが報告されています。

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