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母乳栄養と人工栄養の時代のながれ

赤ちゃんの栄養には母乳栄養と人工栄養があります。
当然母乳が最も優れていて、人間も有史以来、母乳保育がおこなわれてきました。
昔、母乳不足の場合は祈願・祈祷がおこなわれたり、伝承的な薬草や食品、貰い乳、牛乳や馬乳・山羊乳・大豆乳などが母乳の代わりとして使われていました。

第二次世界対戦の頃には、食料不足で母乳分泌も悪くなり、栄養失調の幼児も増えました。
戦後の食料事情の悪い頃に均質化された牛乳を主成分とした調整粉乳が飛躍的に進歩し、また幼児にはスキムミルクが用いられ、子どもたちの栄養失調はかなり改善されました。
明治の初期には練乳が製造され、それから約50年間は加糖練乳が育児用として用いられました。
大正6年、日本ではじめてキノミールという粉乳が和光堂で製造されるましたが、消化不良や下痢が多く、発育も母乳に比べると劣るなどの理由で一般的にはまだまだ受け入れられませんでした。

その後、粉乳は改善、開発され、乳児の身体発育や罹病率、死亡率でも、母乳栄養と比べ、遜色のないものが販売されるようになりました。
さらに、粉乳に関する規格が定められ、乳業各社で製品の改良がおこなわれ、より母乳に近いもの、乳業各社独自性を打ち出した育児用粉乳として進歩してきました。
育児用粉乳の進歩に伴い乳業会社の宣伝活動もあって人工栄養率は急激に増加し、「赤ちゃんが母乳授乳後すぐに泣く」「おっぱいがあまり張らないように感じる」「周囲の人が薦める」などのことから育児用粉乳を用いる母親が増え、母乳栄養は減少しました。
さらに当時のアメリカではほとんどが人工栄養であったということもあって、日本の社会の中にミルク栄養が近代的でスマートで人前で胸を開き授乳するのは野蛮であるなどという風潮が広がり始め、1970年前半には母乳栄養の比率が最低となり、それまで母乳栄養の比率が60〜70%あったものが30%そこそこにまで減少しました。

その頃、母乳栄養が少なくなったのは、日本だけではなく先進国においても減少傾向が強く、これを憂慮したWHOは1974年WHO、国連で母乳育児推進についての勧告が出しました。
わが国においても、WHOの「乳児栄養と母乳哺育」の決議を受けて、昭和50年から次の3つをスローガンとして掲げ、母乳推進運動が展開されました。
1)出生後1.5ヶ月までは、母乳のみで育てよう。
2)3ヶ月までは、できるだけ母乳のみで頑張ろう。
3)4ヶ月以降でも、安易にミルクに切り替えないで育てよう。
この結果、母乳哺育がまた増加の傾向を示すようになりました。

この母乳推進運度の効果は予想以上で、その後、母乳哺育は日本社会に定着し、母乳第一主義の傾向は強まりました。
その反面、母乳の出ない母親は怠慢、母親失格などと母親を追い詰める、ゆき過ぎの風潮もおこりました
やむをえず人工栄養、混合栄養にせざるを得ない母親は強いコンプレックスと子どもの健康について強い不安感をもち、なかにはノイローゼの状態にさえなる人がいました。
これが現在も続いていて、最も憂慮する点となっています。 母乳が赤ちゃんにとってもっとく優れた栄養ということにはかわりないのですが、近年のミルクはきわめてすぐれた製品で、各乳業会社においては日々改善をおこない、母乳に較べても品質にほとんど差がなくなっていますので心配やひけめを感じることなくミルクで育ててください。

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