乳房マッサージには、助産師である故桶谷そとみ先生が考案された桶谷式治療手技(乳房マッサージ)があり、「痛くない・よくでる乳房マッサージ」ということで有名です。
桶谷式治療手技(乳房マッサージ)とは、乳房の基底部(乳腺体の後面)の伸展性をよくしておっぱいをスムーズに出す独自のマッ サージです。
桶谷式治療手技(乳房マッサージ)の手技は難しく、専門の研修会や勉強会に参加し、技術を取得した助産師がおこないます。
また、全国にある『桶谷式母乳育児相談室』は助産師の資格を持ち研鑽会の研修センターにて所定の研修を終了し、認定を受け助産師が開いている母乳育児相談室です。
その後、桶谷式治療手技(乳房マッサージ)を基本に諏訪マタニティ・クリニックの根津八紘医師が『自己管理』を主眼としたSMC(self mamma-control)方式が開発されました。
どちらも、母乳の出を良くするためには基底部にある血管の流れを良くし、血液循環を良くすることが必要としています。
母乳育児に必要な乳房マッサージとして、自己管理ができるSMC方式を紹介します。
【SMC方式乳房マッサージ】
基底部マッサージ |
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◆基本操作〜横から |
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マッサージをおこなう乳房と反対側の手の指を広げ、指先を軽く曲げバスケットボールをつかむような感じで乳房周辺部にあてます。 |
マッサージする側の肘を真横に突き出し、手首を反屈させ、指先が顔の方を向くようにし、母指球(親指の付け根のふくらんだ部分)を保護した指の外側の部分に当てます。(このとき、保護している指の上にのせないようにしましょう。) |
このポーズのまま、肘を上下させ乳房の左わきの部分をゆっくり押し出すように、肩を支点にして振り子のように動かし、母指球を介して基底部を動かします。 |
◆基本操作〜斜め下から |
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マッサージをおこなう乳房の反対側の手の指をそろえて小指側を乳房の斜め下側に当て、乳房を保護します。 |
マッサージする側の肘を真横に突き出し、手首を反屈させ、指先が下を向くように回し、小指球(小指の付け根のふくらんだ部分)を保護した手で外側に当てます。 |
このポーズのまま乳房をつぶさないよう、ゆっくりとすくう感じで押し上げます。 |
◆基本操作〜下から |
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マッサージする乳房と反対側の手の指をそろえ小指側を乳房の下の周辺に当て、乳房を下から保護します。 |
マッサージする側の肘を真横に突き出し、手首を曲げないように保護した手の下側に当てます。 |
このポーズのまま肘を中心に前腕で乳房をすくい上げるように乳房の基底部を持ち上げます。 |
乳頭・乳輪部マッサージ |
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◆基本の構え |
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マッサージをする乳房と反対側の手で乳房を保護します。 |
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◆マッサージの方法 |
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圧迫 |
横方向 |
たて方向 |
基本の姿勢で、親指・人差し指・中指の三本の指で乳頭・乳輪部をはさみ、少しずつ圧を加えながら3秒ほど圧迫します。 |
基本の姿勢で、親指・人差し指・中指の三本の指で乳頭・乳輪部をはさみ、横方向にもみずらしながらほぐします。 |
基本の姿勢で、親指・人差し指・中指の三本の指で乳頭・乳輪部をはさみ、たて方向にもみずらしながらほぐします。 |