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神経疫疾患合併妊娠

妊娠と自律神経系の変化

神経疾患合併妊娠自律神経系とは
筋肉の随意運動や知覚は体性神経の働きによるものです。
一方、自律神経は各臓器の不随運動を維持し、体を恒常状態に保つ役割を果たしています。
自律神経の運動線維は平滑筋、心筋や唾液腺など各種の腺に分布し、そのつど、各臓器から神経中枢へ情報を送り、血液分布、心拍分布し、そのつど、各臓器から神経中枢への情報を送り、血液分布、心拍数、血液、呼吸数、体温、胃液分泌などを瞬間的に調節しています。

1)種類
自律神経には、交感神経と副交感神経系があります。
交感神経作用は緊急避難時向きの作用で、生態防御反応と考えられています。一方、副交感神経作用は平穏向きで、体のエネルギーを保存維持するように働きます。両者は互いに拮抗しながら生体の恒常性を調節、維持します。
2)解剖
神経線維は神経中枢から末梢部まで脊髄内を走り、目的の臓器近くの神経節に至る筋前線維と神経節から目的の臓器に至る節後線維があります。
神経中枢はおもに視床下部にありますが、脳幹や大脳皮質にもあります。節後線維は標的臓器の働きを調節します。
3)神経伝達物質
交感神経終末端ではノルアドレナリンが分泌されます。副交感神経線維は迷走神経を経由しいろいろな臓器に分布し、アセチルコリンを分泌し、各臓器に刺激伝達を行います。

てんかん合併妊娠

神経疾患合併妊娠てんかん
【定義】
世界保健機構(WHO)はてんかんを、「大脳神経細胞の過剰な発射に由来する、反復性の発作を主徴とする慢性の脳疾患」と定義しています。
てんかんは、神経疾患の中では最も多い疾患の一つで、罹病率は人口10万人につき0.5人です。てんかん患者の50%は10歳以前に発症し、大人になると多くの例で発作はおこらなくなります
てんかん発作はよく「脳の電気的嵐」に例えられ、てんかん発作は繰り返しおこることが特徴です。そのため、1回だけの発作では、ふつうはてんかんという診断はつけられません。
【原因】
てんかんの原因は人によって様々です。
【分類】
症候性てんかん…脳に何らかの障害や傷があることによって起こるてんかん。
例)生まれたときの仮死状態や低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷
特発性てんかん…様々な検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかん
【遺伝】
てんかんのほとんどは遺伝しません。
一部のてんかんには発病に遺伝子が関係していたり、発作の起こりやすさを受け継ぐことが明らかになっていますが、そうしたてんかんの多くは良性であり、治癒しやすいようです。
【発作】
発作は大きく分けると、全般発作と部分発作に分けられます。
全般発作…発作のはじめから、脳全体が「電気の嵐」に巻き込まれるもので、意識が最初からなくなるという特徴があり、強直間代発作、単純欠神発作、複雑欠神発作、点頭発作、脱力発作に分類されます。
部分発作…脳のある部分から始まる発作で単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化発作に分類されます。
【診断】
てんかんの診断は、病歴や発作型の聴取、ビデオ撮影による解析、脳波、CT/MRIなどの画像検査によって行われます。
【治療】
抗てんかん薬による内科的治療と外科的治療の2つがあります。
てんかん治療の基本は、まず薬物治療です。最初の単剤治療で約60%の患者は発作が完全に抑制されます。
てんかん患者の10-30%は薬剤治療に抵抗する難治てんかんです。そのうち約50%は外科治療の対象となると言われています。以下のような手術法があります。

神経疾患合併妊娠妊娠とてんかん
【てんかん発作の発生頻度】
妊娠によるてんかん発作の発生頻度は70%以上の症例で妊娠中の発作頻度は変化せず、約20%で増加、約10%で減少という報告があります。
服薬を正確に行っていればほとんど増加しないことが分かってきています。
【妊娠に与える影響】
てんかん発作は一過性に脳下垂体前葉ホルモンのプロラクチン濃度を上昇させるので、月経周期に影響を与え、受胎頻度が減少する可能性があります。また、てんかん発作や抗てんかん薬の影響で率が下がる傾向もあります。妊娠中の母親が全般強直間代けいれんを起こすと、胎児が低酸素状態になるのみならず切迫流産、切迫早産の原因になりえます。発作による流産は症例の1%くらいにみられます。
【胎児に与える影響】
てんかん女性では「抗てんかん薬の服用」によって奇形頻度が2〜3倍に増えると考えられます。抗てんかん薬を単剤(1剤)で服用した場合に比べて、多剤併用した方が薬剤数の増加に伴って奇形頻度が増加することが報告されています。(兼子直,ほか:CNS Drugs,3:41,1995)
特にバルプロ酸ナトリウムとカルバマゼピンあるいはフェニトインとプリミドンとフェノバルビタールのような特定の薬剤の組み合わせが奇形発現を増加させるとの報告があります。
また、多くのAEDは血中の葉酸濃度を低下させ、母体の低葉酸濃度と奇形発現の関連が指摘されています。妊娠前および妊娠初期に血中の葉酸値を測定し、低値(5ng/nl未満)であれば、葉酸の補充(0.6mg/日)が行われます。
母体のAED治療に起因する新生児出血に対しては、ビタミンKの予防的投与が有効であると言われ、妊娠後期または出生した児に投与されることがあります。
【新生児・乳児に与える影響】
授乳は単に児を免疫的に保護するだけでなく、精神的に安定した母児関係を作るのに重要ですが、抗てんかん薬は種々の割合で母乳中に分泌されます。新生児の体内から排泄されにくいベンゾジアゼピン類とフェノバルビタールなどのバルビツール剤、母乳中への排泄率の高いゾニサミドなどでは、授乳の可否が問題となります。
生後1週間は児の代謝排泄能が十分でないため、バルビツール剤やベンゾジアゼピン類の抗てんかん薬を服用中の授乳はできるだけ避け、授乳する場合も人工栄養との併用が薦められます。添付文書に服用中は授乳を避けるよう記載されている薬剤も多く、十分な検討が必要です。

神経疾患合併妊娠妊娠可能てんかん女性の治療ガイドライン
1.妊娠前
a)カウセリング:経口避妊薬に対するAEDの作用、妊娠中の発作、妊娠・出産経過、胎児・新生児に対するAEDの影響、産褥経過、てんかんの子どもへの遺伝性などについて説明する。
b)妊娠前の発作の抑制:必要最小限のAEDの単剤。
c)AED:TMD、MPB投与はしない。VPA、CBZも可能であれば他剤へ変更。VPA投与中止が困難な症例では徐放剤へ変更。PHT or CBZ + バルビツール剤、VPA + CBZは避ける。
d)単剤での投与量:PRM、CBZ:400mg、VPA:1000mg、PHT:200mg/日以下が望ましい。
e)葉酸濃度の測定:低値であれば0.6mg/日の葉酸を補充する。
2.妊娠中
a)定期的な通院:胎児モニタリング、AED・葉酸の測定。
b)AED投与量:服薬が規則的でかつ発作が悪化した場合にAEDを増量。
c)VPA、CBZ服用例:16週で血清AFPの測定、妊娠18週に超音波診断。
d)けいれん発作:切迫流・早産に注意。
3.出産時および産褥期
a)出産方法:母・児の状況を検討し、通常の分娩が可能か否か正確に判定(多くは通常の分娩が可能)。
b)AED:分娩前後で服薬が不規則になりがち。けいれん発作の頻発や重責状態に注意。
c)出産時:児にビタミンKを1mg投与。
d)授乳:原則的に可能(バルビツール剤、ベンゾジアゼピン、ゾニサミドを多量服用している症例では生後1週間は人工栄養も併用する)
e)産後:AED血中濃度の上昇する症例ではAEDの投与を調整する。
f)育児:母体の睡眠不足を避けるため、育児で家族の協力を求める。
4.乳幼児期
a)定期検診:心身の発達のチェックを含む。
b)脳波記録:年1回。
c)ハンディキャップを持つ子ども、発達の遅れている子どもに対する指導。
d)無熱性けいれんが反復出現した時、治療開始。


2.
妊娠中に薬やレントゲン検査などの影響を受けていなくても、一定の確率で奇形などの児の異常が認められます。一方、抗てんかん薬を服用している場合には児の奇形の発生率は増加するとされています。抗てんかん薬と関連性が高いと考えられている奇形は、口唇裂、口蓋裂、心奇形、神経管閉鎖不全(二分脊椎など)などです。また、服用量が多い場合や二種類以上の薬剤を服用している場合には奇形発生率が増加することが知られています。

3.妊娠前の注意
妊娠中には抗てんかん薬の胎児への影響とてんかん発作の母体・胎児への影響を共に考える必要があります。したがって、てんかん発作を予防できる必要最小限の量およびできるだけ少ない種類(できれば一種類)の薬でコントロールできるようにすることが重要となります。妊娠を考えている方で、症状が安定されている場合には、担当医に減量や中止について相談することをお勧めします。ただし、自己判断で減量や中止をすると、てんかん発作が増悪する可能性がありますので、必ず担当医と相談して行うようにして下さい。また、神経管閉鎖不全などの異常の予防として葉酸(ビタミンの一種)の摂取が推奨されていますので、葉酸の摂取を心掛ける様にして下さい。

4.妊娠中の注意
妊娠中のてんかん発作は流・早産の原因となるだけでなく、胎児死亡などの危険性もあるため確実に抗てんかん薬を服用し、てんかん発作を起こさないようにすることが大切です。その際には、てんかん発作を予防できる必要最小限の量およびできるだけ少ない種類(できれば一種類)の薬でコントロールできるようにすることが重要です。また、体調の変化、ストレス、不眠などでてんかん発作が誘発されることがあるので、家族や周囲の方々の協力を得て、安楽な生活を過ごせるように心掛けましょう。
1.妊娠によっててんかんの症状が悪化しないか
 抗てんかん薬がきちんと服用されているかどうかを厳密に検討した結果では 70%以上で発作頻度は変化せず、約20%で増加、10%で減少しています。ただし、全般発作に比較して、部分発作は妊娠中に増加する症例が多い傾向があります。

2.発作の妊娠に及ぼす影響
 てんかん発作は一過性に脳下垂体前葉ホルモンのプロラクチン濃度を上昇させるので、メンスの周期に影響を与え、受胎頻度が低くなる傾向があります。また、抗てんかん薬の影響で率が下がる傾向もあります。
 妊娠中の母親が全般強直間代けいれんを起こすと、胎児が低酸素状態になるのみならず切迫流産、切迫早産の原因になりえます。しかし、発作による流産は症例の 1%程度になると見られます。

3.抗てんかん薬の催奇性について
 抗てんかん薬を服用している女性が出産した児の奇形頻度は一般よりも高率になります。一般人口に見られる平均奇形頻度は4.8%、非服薬てんかん妊婦の児では 5.7%、妊娠第一期に服用して出産した時は11.1%で、一般の約2倍になります。父親がてんかんを持つ場合では平均8.4%で、母親がてんかんである場合の方が高率です。
 抗てんかん薬の中で、特に、バルプロ酸(デパケン)とカルバマゼピン(テグレトール)の催奇性が注目されていますが、抗てんかん薬の種類と特異的な奇形についての関連は証明されていません。
 抗てんかん薬の単剤投与の平均奇形発現率は7.9%、2剤では9.2%、3剤では10.1%、 4剤では10.5%、5剤では16.7%と、併用で奇形の率が増加するという報告がありますが、否定的な報告もあります。

4.抗てんかん薬と授乳
 抗てんかん薬は母乳中に分泌されます。特に、新生児の体内から排泄されにくいベンゾダイアゼピン類とフェノバルビタールなどのバルビツール剤、母乳中への排泄率の高いゾニサミドが問題となります。しかし、母乳と粉ミルクとの併用などで解決できるでしょう。

以上のリスクを子供を諦めなければならないほど高いと見なすかどうか、ということが判断の基準になるでしょう。これらの知識を含めて、主治医に十分ご相談なさって

妊娠高血圧症候群との関連

神経疾患合併妊娠妊娠高血圧症候群
交感神経の活動が亢進すると高血圧が生じることはよく知られています。
妊娠によって発症する高血圧である妊娠高血圧症候群においても、その発症機序に自律神経が関与していることは、心拍数リズムのパワースペクトル解析によれば、妊娠高血圧症候群症例では、正常妊婦に比較して迷走神経の緊張低下が認められます。
また、妊娠高血圧症候群症例に血管撮影を行った検討では、妊娠高血圧症候群症例では多くに血管攣縮を認め、さらに正常妊婦に比較し血中カテコラミンは有意に高値となることがわかっています。
この結果は、妊娠高血圧症候群では交感神経ー副腎髄質系の亢進し、その発症に関連て可能性があることを示唆しています。

クモ膜下出血合併妊娠

神経疾患合併妊娠クモ膜下出血(SAH)の概念
クモ膜下腔に出血した状態をいいます。
その原因としては、妊娠および分娩時に生じるクモ膜下出血(SAH)は通常とは逆に、脳動静脈奇形(AVM)からの出血によるものが能動脈瘤の破裂よりも多いのですが、これは能動静脈奇形(AVM)がより若年の生殖年齢層に発症しやすいことからと考えられていますが、脳動静脈瘤の破裂によるものの方が重篤になりやすく、死亡率も高いことがわかっています。

神経疾患合併妊娠病態生理と臨床症状
脳動静脈奇形(AVM)は妊娠中期に発症しやすく、脳実質内に出血していることから二次的にクモ膜下出血(SAH)を起こすことが多い。一方、脳動脈瘤は脳表面に存在するため一次的にクモ膜下出血(SAH)となりますが、妊娠後期になるに従い頻度は増加します。
臨床症状では、突然の激しい頭痛で始まりますが、多くは悪心や嘔吐を伴い、数時間で消失するものから10日以上続くものまでさまざまです。
項部硬直などの髄膜刺激症状は徐々に出現し、24時間を経るほどほとんどの前例に認められます。脳内出血や脳浮腫、とくに脳動脈瘤の破裂では発症数日後から脳血管攣縮をきたし、脳虚血や梗塞を生じます。そのため、運動、感覚障害、痙攣や種々の程度の意識障害が出現します。脳圧亢進の持続や再出血が起こると死亡率が高い、脳動静脈奇形(AVM)の破裂では、初期症状として、痙攣や進行性の巣症状で発症することもあります。

てんかん合併妊娠

神経疾患合併妊娠てんかんの概念
反復性の発作(意識障害、痙攣、その他として幻覚や自律神経症状や行動異常など)をきたす慢性の脳疾患で、多くの場合は原因は不明です。
てんかんそれ自体は、妊娠により悪化はしませんが、本人が胎児への影響などを懸念して抗痙攣薬の服用をひかえることがあり、そのために発作が増加することがあります。また、抗痙攣薬による胎児新生児に対する影響があります。

神経疾患合併妊娠てんかんの病態生理と臨床症状
脳細胞の過剰な発射が原因となり、発作を繰り返します。その症状は、発射のfocusの部分や脳内の広がる範囲により、大発作、小発作、精神運動発作など多様です。

神経疾患合併妊娠てんかんの検査と診断
脳波検査で発作性の異常波として記録」されます。
頭部CT スキャンMRIなど器質的な脳神経を否定することが大切です。妊娠して初めて出現した発作の場合は、感染、ヒステリー、中毒、脳動脈静脈奇形の破裂、子癇などの鑑別が大切です。

神経疾患合併妊娠てんかんの管理と治療
妊娠中の発作は低酸素症から胎児への障害を引き起こすことがあり、そのためにも抗痙攣薬の服薬を継続します。胎児発育やNSTなどによる胎児のモニタリングは定期的に行います。
分娩様式は原則として経膣分娩でよいのですが、発作の状況によりいつでも全身麻酔下による帝王切開への切り替え準備をおこなっておく必要があります。
また、奇形や出血傾向ばかりでなく、経胎盤性の薬剤による影響である離脱症状群も生じる可能性があるため、小児科の協力をもとに、新生児はハイリスク児として身長に観察と対応が必要があります。

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