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糖尿病合併妊娠

妊娠にともなう糖代謝

糖尿病合併妊娠母体と糖代謝の関係
胎児は発育エネルギーの大部分をブドウ糖(グルコース)に依存しているため、母体は下記のように糖代謝を変化させ、胎児にグルコースを優先的に供給できる仕組みをつくります。
@食事によってグルコースが流れ込む。
A胎盤性ホルモン(hPLなど)が増加し、母体の筋・脂肪細胞にインスリン抵抗性をひき起こす(特に妊娠20週以降)
Bインスリン抵抗性によって母体はグルコースが取り込みにくくなる。
C母体がグルコースを取り込みにくくなった分、胎児にグルコースが供給されるようになります。
D胎盤性ホルモンは、脂質の分解を促進させる。これによって母体はグルコースが足りなくなった分のエネルギーを遊離脂肪酸(FFA)やグリセロールで補えるようになります。
Eインスリン抵抗性によって、母体のグルコースの取り込みが低下しているのに対し、母体の膵臓は取り込みを促進させようとインスリン分泌を亢進させます。これによって高インスリン血症が生じます。
*妊娠時にインスリン抗体を引き起こす原因として、胎盤性ホルモンの他に、アディポサイトカイン分泌異常が注目されています。

妊娠にともなう膵臓の変化

糖尿病合併妊娠妊娠中
妊娠中は膵液の分泌が増加し、リパーゼやトリプシン活性も上昇します。この結果、妊娠中に増加した中性脂肪がリパーゼにより分解され、生じた遊離脂肪酸により血管内皮障害が起こり、急性膵炎の一因となることがあります。
妊娠の膵内分泌機能に及ぼす影響は、とくに妊娠後期になると著しく、空腹時の低血糖と高脂血症、節食後の高血糖と高インスリン血症た特徴です。これはインスリン拮抗ホルモンと母体のインスリン抵抗性の増大によるものと考えられます。
インスリン分泌の増加は、妊娠中に増加するhPL、プロラクチン、エストロゲン、プロゲステロンなどによるため、これらの変化は分娩後すみやかに非妊時の状態に回復します。
ほかの膵内分泌ホルモンとしては、グルカゴンやソマトスタチンは妊娠中に増加するが、膵ポリペプチドは妊娠中に低下するといわれています。
また、膵ランゲルハンス島では、インスリンを分泌するB細胞が肥大・過形成となり、A細胞に対するB細胞の比率が増加することがしられています。

妊娠中の血糖値の変化

糖尿病合併妊娠食後血糖値
母体における妊娠末期の血糖値と血中インスリン値の日内変動は食後血糖は高くなります。
妊婦では食後高血糖と高インスリン血症が認められ、これは血糖の上昇に基づく高いインスリン反応を示しています。
この原因は、インスリン抵抗性の増大によるもものと考えられています。

糖尿病合併妊娠空腹時血糖
非妊娠時と妊娠末期の間には空腹時血中インスリン値に大きな相違がみられないにもかかわらず、血糖値はむしろ低下するという特徴がみられます。
妊娠末期にブドウ糖濃度の低下が起きる主な原因は、そのエネルギー源をブドウ糖に依存している胎児の糖消費が増大することと考えれます。すなわち、妊娠末期では胎児は急速に成長し、この間、胎児の糖消費は増加するので、胎盤を介して胎児にブドウ糖が供給され、食前や空腹時には血糖値が非妊時よりも低くなります。
さらに、妊娠時では胎児の存在に加えて、妊娠による生理的現象としての循環血液量の増加に基づく赤血球増加や心筋、呼吸筋でのブドウ糖消費量の増加および乳腺におけるその消費量増加などが関与しています。

糖尿病合併妊娠

糖尿病合併妊娠病態
糖尿病合併妊娠は妊娠全体の0.25〜0.54%とされています。
しかし最近、小児の糖尿病が増加し、彼らが出産年齢に達していることが関係しています。
また、糖尿病のリスクファクターとしての肥満と高齢妊婦が増加していることも問題となっています。
妊娠7週までの高血糖が持続すると、児の先天奇形が非糖尿病の場合の3〜5倍となります。そこで糖尿病がある場合は、妊娠前からの厳密な管理が必要だといえます。
糖尿病合併妊婦では妊娠中の羊水過多、巨大児、IUGRが多く、子宮内胎児死亡の頻度も高くなります。
新生児合併症としては、呼吸窮迫症候群、一過性呼吸障害、低血糖、低カルシウム、多血症などの頻度が高くなります。

糖尿病合併妊娠治療
血糖のコントロールは、空腹時100mg/dl以下、食後2時間値120mg/dl以下で低血糖発作がないことを目指します。
また、HbA1は7.1〜9.3%以下HbA1cは5.3〜5.5、フルクトサミン219〜279を目指します。
いずれも、低血糖発作のないことが大切です。
HbA1、HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖値を反映し、フルクトサミンは過?〜2週間の平均血糖値を反映しています。
このような血糖値の管理を行うために自己血糖測定、自己インスリン注射が行われます。

妊娠中は、胎盤や副腎からのホルモン分泌の増加や胎盤でのインスリンの活性化により、インスリンの必要量は非妊時の約2倍に増加します。
このため妊娠中の糖尿病は悪化する傾向にあり、妊娠性糖尿病(GDM)がみられます。
妊娠時の糖尿病の診断には75g経口糖負荷試験(75gOGTT)を行う。
糖尿病妊婦ににおける合併症は、母体に妊娠高血圧症候群、羊水過多症、感染症、胎児に巨大児、子宮内胎児死亡、奇形、低血糖、高ビリルビン血症を起こします。
妊娠の許可条件としては、@血糖値のコントロールが良好、A眼底所見や腎機能障害などの血管性病変が存在しないこと。
妊娠の継続を希望する場合は、食事療法を中心とした生活の管理をおこない、必要に応じてインスリンを併用します。

妊娠糖尿病

糖尿病合併妊娠病態
妊娠中に発生したか、初めて認識された耐糖能低下を糖尿病合併妊娠と区別して妊娠糖尿病といいます。
妊娠糖尿病では糖尿病合併妊娠と同様、羊水過多、巨大児、IUGRが多く、新生児合併としてはRDS,TTNB,、低血糖、低カルシウム、多血症などが多い。
妊娠中はインスリンが胎盤で消費されるため、妊娠前には正常であっても妊娠中には糖尿病状態になりやすいといえます。
分娩後、胎盤娩出とともに、そのような状態は解消され、インスリン必要量が激減します。
切迫早産治療薬によっても耐糖能は低下します。

糖尿病合併妊娠治療
血糖のコントロールの目標は、糖尿病合併妊娠に準じます。

糖尿病合併妊娠経過観察
妊娠糖尿妊婦は分娩後に耐糖能が改善しても、その後に真性の糖尿病になりやすいので長期にわたるフォローが大切となります。

妊娠糖尿病とは、妊娠時に定期健診で行う尿糖検査で(+)以上を認め、腎の耐糖能が低下することによって起こる妊娠性腎性尿糖ををいいます。糖尿病とは区別されます。
妊娠糖尿病は分娩後は正常化します。妊娠糖尿病の頻度は高く、糖尿病合併妊娠と同様に妊娠中の管理が重要です。
糖尿病が母体に及ぼす影響は大きく、リスクも高い。
母体では、流産、早産、妊娠高血圧症候群の合併、羊水過多、巨大児による肩甲難産がみられ、胎児では、巨大児、胎児発育遅延、胎内死亡の危険性があります。

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