妊娠・出産・育児

妊娠・出産・育児 は妊娠・出産・育児に関する基礎知識と情報提供、コミュニケーションや相談ができるママたちのコミュニティサイト

HOME インフォメーション 妊娠 出産・産後 赤ちゃんの成長と育児 ゲストルーム 掲示板 お役立ち情報 地域情報 育児日記 トピックス  リンク サイトマップ

子宮がん合併妊娠

【子宮がんとは】
婦人科のがんで最も一般的な子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)があります。
子宮頸がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで増加し、近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります
ヒューマン・パピローマ・ウイルス(human papilloma virus:HPV)の感染が、子宮頸がん、特に扁平(へんぺい)上皮がんの確立したリスク要因とされています。
子宮頸がん患者の90%以上からHPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤がんへの進展がみられやすいことがわかっています。
子宮頸がんのリスク要因として、低年齢での初交、 性的パートナーが多い、多産、他の性 行 為感染症、が報告されていますが、その多くはHPV感染のリスク要因です。また、喫煙は確立したリスク要因とされています。その他、経口避妊薬の使用、低所得階層との関連性も指摘されています。子宮頸部腺がんについても、扁平上皮がんと同様に、HPV感染や経口避妊薬の使用との関連が指摘されています。

【症状】
初期の子宮頸がんでは、全く症状がない場合が多く、進行するとはじめの症状としては、月経でない時の出血、性 行 為の際の出血やふだんと違うおりものが増えたりします。他に月経の量が増えたり長引いたりすることもあります。

【診断】
1)細胞診
がん細胞は正常の細胞と異なったかたちや色合いをしています。がんの部分からこすりとった細胞や、がんから落ちてきたものをガラス板に塗り、色素で染めて顕微鏡で見ますと、がん細胞を見つけることができます。この診断法を細胞診と呼んでおり、がんを診断する各種の検査法の中でも非常に重要な方法です。
頸部がんは前にも述べたように外子宮口の付近から発生することが多いので、この部分を綿棒またはヘラのようなものでこすって細胞診を行います。この方法は簡単で痛みもほとんどなく、大勢の人に短い時間で行えますので、集団検診ではこの方法だけを行うことが普通です。ただし、細胞診だけでがんを決定することはしません。なぜなら、がんでなくても、がんと紛らわしい細胞が出ることがあるからです。細胞診に異状があった場合は、次の検査を行います。
2)組織診
疑わしい部分から組織をとり、標本をつくって顕微鏡で診断する方法を組織診と呼びます。子宮頸部の組織診の際は、ほとんど痛みもなく、出血も間もなく止まります。本診断は外来にて実施可能です。ただ採取する組織が小さいので、0期のがんか、それより進行したがんか、または0期にもなっていない状態かを鑑別するのが困難なことがあり、何回か組織診を行うこともあります。ときには、「円錐切除術」と呼ばれる方法で組織診を行うこともあります。この場合は、入院する必要があります。
3)コルポスコープ
コルポスコープという拡大鏡のような機械で、子宮頸部粘膜表面を拡大して、細かい部分を観察する診断法をコルポ診と呼んでいます。組織診の組織を採取する際に欠かせません

【ステージ】
子宮頸がんに0期、Ta期、Tb期、Ua期、Ub期、Va期、Vb期、Wa期、Wb期、に分類されます。

【治療】
子宮頸がんには、外科療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つの治療法があります。


【妊娠と子宮頸がん】
妊娠中に子宮頸がんと診断される割合は、約3%といわれ、多くの場合は細胞診の異常から診断される。
妊娠に合併する子宮頸がんは0期やIa期が多く、予後は非妊娠時の同じ程度だといわれる。

【診断】
細胞診で異形成以上の病変と判断された場合はコルポスコピーが行われます。
細胞診、コルポスコピー、生検組織診でIa期の病変が疑われた場合には子宮頸部円錐切除術が行われます。
円錐切除は出血や流早産のリスクがあるためできるだけ最小限の切除がなされます。
円錐切除術を施行した場合、流早産の予防のため同時に頸管縫縮術を行うことがあります。
また、妊娠継続の意思がある場合には頸管内の掻爬は禁忌とされています。

【治療】
0期:妊娠中の円錐切除術では術中術後の出血が多くなったり、また,流早産の危険性があり、細胞診、コルポスコピー、生検組織診で微小浸潤癌以上の病変の疑いのないときは、分娩後まで円錐切除術を延期することも可能である。この場合、細胞診,コルポスコピー、生検組織診が適切に行える施設での総合診断および分娩後までの厳重な経過観察が不可欠である。
Ta期以上:子宮頸部円錐切除術の結果、子宮温存が可能なIa期であった場合は、子宮頸部円錐切除術のみで、経過をみることが可能である。子宮の摘出が必要な場合の治療方針は、妊娠継続の意思の有無と診断された妊娠週数、頸癌の進行期などを考慮して、各施設ごとに個別に対応する必要がある。
1)妊娠継続の意思がない場合
できるだけ早期に妊娠を終了し、治療を開始する。
2)胎児が体外生活が可能な時期の場合
円錐切除術の結果、子宮の温存が可能と診断された場合は、自然分娩が可能である。
子宮を摘出する必要がある場合ある場合、経腟分娩後に根治手術を行うケースと帝王切開で胎児を娩出する場合には同時に頸癌の根治手術を行うケースがあります。
3)体外生活が不可能でかつ妊娠継続を強く希望する場合
妊娠継続を強く希望する場合には胎児が体外生活可能な時期まで頸癌の治療開始時期を延期する方法がありますが、治療延期の決定には慎重を要する。
手術不能な進行癌:できるだけ早急に妊娠を中断し頸癌の治療を開始するのが原則とされます。
組織型による区別:妊娠中であっても,腺癌と扁平上皮癌を治療上区別すべきエビデンスはない。
生検組織診で上皮内腺癌と診断された場合はコルポスコピーで病変の局在や浸潤の深さの評価が困難であり、正確な診断のために円錐切除術が必要となります。

inserted by FC2 system