分娩の３要素は①産道（骨産道、軟産道）②娩出力（陣痛、腹圧）③娩出物（胎児および付属物）です。
陣痛とは、分娩時の反復する子宮収縮をいい、痛みを伴うことが絶対的な条件ではありません。
【過強陣痛とは】
子宮収縮が異常に強く、その持続時間が異常に長いものを過強陣痛といいます。
【過強陣痛の原因】
*精神的興奮、自律神経の不安定
*産道への異常な抵抗：骨産道や胎位胎勢の異常、巨大児など
*子宮収縮剤の乱用、内診や回転術などによる子宮への過度な刺激
【過強陣痛の影響】
①産道の抵抗が小さい場合
*分娩が急速に終了する（急産、墜落産）
*娩出時の児の外傷
*臍帯断裂
*子宮内反
*頚管や子裂傷
*弛緩出血
②産道の抵抗が大きい場合
*早期破水をきたし、多くは持続性微弱陣痛、子宮内感染を起こす。
*疲労のため微弱陣痛となり分娩は停止する。
*陣痛は過強となって分娩に至り、頚管、膣、子に大きな裂傷が生じる。
*けれん陣痛となり子宮破裂の危険もある。
*子宮胎盤血管が圧迫されて胎児は低酸素状態に陥り、胎児ジストレズとなる。
【過強陣痛時の治療】
*慎重に経過を観察しながら経膣分娩をこころみられる。
*子宮収縮細が使用されていれば、減量または中止。
*必要に応じて鎮静薬や子宮収縮抑制薬の投与
*陣痛抑制が困難であれば、帝王切開となることもあります。
