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乳児用調整粉乳の安全な調乳、保存及び取り扱いに関するガイドライン

◆乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて

『母乳とミルクの子育て』というコーナーを作るにあたり、厚生労働省から育児用ミルクの調乳温度の変更が勧告されていることを知りました。
今年度の母子健康手帳においても『乳幼児期の栄養・人工乳(ミルク)に使う水』という項目の中において下記の内容が掲載されています。

平成19年度母子健康手帳より抜粋
粉ミルクの製造過程で空気中の菌が混入している場合にそなえ、特に歳暮1か月くらいまでの小さな赤ちゃんには、80℃以上の熱湯でミルクを溶かすか、水か湯でミルクをとかしていったん80℃以上に熱してから冷まして飲ませるようにしましょう。
これまでは、粉ミルクの調乳温度は、一度沸騰させたものを40〜50℃に冷ましたもので溶かして飲ませるという方法が一般的でした。
これは、2004年に行なわれたFAO/WHOのワークショップからの勧告に基づきWHOが粉ミルク中のエンテロバクター・サカザキについての注意勧告とQ&Aを発表。
厚生労働省からも情報提供が行なわれた事によります。

厚生労働省からの勧告があるにもかかわらず、ほとんどは知られておらず、また乳業会社のサイトにおてもまだ40〜50℃という調乳方法が掲載されています。
確かに、海外での報告例であって、日本のミルクの製造方法はしっかり管理されているとは思いますが、注意が呼びかけてられているのですから利用者に情報の提供を行う必要はあるように思います。

◆平成19年6月5日厚生労働省医薬食品局食品安全部より
今般、世界保健機関(WHO)及び国連食糧農業機関(FAO)が「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」を作成しました。
わが国でも、調乳方法等の体系的なガイドラインはこれまでなかったことから、医療機関及び家庭における乳児用調製粉乳の衛生的な取扱いについて普及啓発を行うため、本ガイドラインの仮訳を作成し、都道府県等及び関係団体あて情報提供を行いますのでお知らせします。
なお、本ガイドラインの仮訳(全文)については、厚生労働省のホームページに掲載しています。

〔本ガイドラインにおける乳児用調製粉乳の調乳のポイント〕
○乳児用調製粉乳の調乳に当たっては、使用する湯は70℃以上を保つこと。
(注)高温の湯を取り扱うので、やけどに注意すること。
※乳児用調製粉乳の哺乳ビンを用いた調乳方法の詳細については、別添を参照してください。
・ 本ガイドラインは、乳児用調製粉乳について、製造工程で無菌にすることは困難であり、また、開封後に病原微生物に汚染されるおそれもあることから、乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いの方法を定めたものであること。
特に、Enterobacter sakazakii による乳児のリスクを最小限に抑えるために作成されたものである。
・本ガイドラインの対象となる乳児は12ヶ月齢以下の乳児であること。

◆育児用調製粉乳中のEnterobacter sakazakiiに関するQ&A(仮訳)
*このQ&Aは、2004年2月のFAO/WHO専門家会合でとりまとめられたものを仮訳したものです。

Q1..「Enterobacter sakazakii」とは、どういう細菌ですか?また、どのような疾患を引き起こしますか?
A1.Enterobacter sakazakii(以下「本菌」という。)は、ヒトや動物、環境中に確認される多数の菌種を含む腸内細菌科Enterobacter属の細菌です。
この細菌は、特に乳幼児の髄膜炎や腸炎の発生に関係しているとされています。感染した乳幼児の20〜50%が死亡したという事例の報告もあります。
また、死亡に至らなかった場合も、神経障害等重篤な合併症が継続するとされています。成人が感染した場合は、その症状はかなり軽度であるとされています。

Q2.本菌はどこに存在していますか?ヒトの腸管の中に存在しますか?
A2.本菌の自然界での生息場所はよくわかっていません。健康なヒトの腸管からも時折検出されますが、常在しているものではなく、多くの場合、外部からの侵入によるものです。また、自然環境中や動物の腸管内でも確認されています。

Q3.本菌はどのようにして調製粉乳に混入するのですか。また、他の食品が汚染されることがありますか?
A3.本菌が調製粉乳に混入する経路として以下の3つが考えられています。
(1)調製粉乳の製造に用いられる未処理の原材料からの混入
(2)菌後の製品や乾燥原料の汚染
(3)授乳前の調乳時に生じる汚染
また、本菌は調製粉乳以外の食品からも検出されていますが、調製粉乳だけが病気の発生に関与していました

Q4.どのような人々に病気が発生する危険性がありますか?
A4.本菌はすべての年齢層の人で病気を引き起こします。
 報告された感染事例の年齢分布から、乳幼児(1才未満)が特にリスクが高いと考えられています。また、乳幼児の中でも、本菌による感染症に対して、最もリスクが高いのは、生後28日未満の新生児、特に未熟児、低出生体重児、免疫障害を持つ乳幼児です。また、HIV陽性の母親を持つ乳幼児は、調製粉乳を特に必要とすること、感染に対し感受性が高いことからリスクが高いとされています。母親がHIV陽性であることや低出生体重児の問題は、そのような乳幼児人口が先進諸国より多い途上国においては、特に関心が高いかもしれません。(Q10参照)(*)
(*)これらの乳幼児について、国連の指針では、母乳に代わる哺育が、許容でき、実行が可能で、安価であり、継続可能で、安全なものであれば、母乳哺育を完全に中止するよう勧告しており、調製粉乳はその選択肢の一つとなっています。また、これらの乳幼児の中には、HIV陽性であって、そのために免疫不全を有する恐れがある乳幼児も含まれています。

Q5.どのようすれば、リスクは軽減できますか?
A5.2004年2月のFAO/WHO専門家会合で、以下のことが勧告されました。
乳幼児、特に高リスクの乳幼児(Q4参照)の介護者に対し、調製粉乳は無菌ではないということについて、常に注意喚起を行うべきであること。
何らかの理由で母親が母乳哺育をすることができない、あるいは、母乳哺育を選択しない場合には、可能な限り、殺菌済みで液状の市販の乳幼児用ミルクを使用するか、調製粉乳を調乳する際に、熱湯で溶かす、あるいは調製後に加熱する等の汚染のリスクを除去する手順で行うことが必要であること。(*)

予備的なリスク評価では、調乳済みの調製粉乳は、保管時間(調製から摂取までの時間)と授乳時間を短縮することにより、乳幼児へのリスクが軽減することが示されています。管理方法を組み合せることで、リスクを大きく軽減することがであること。

現在の技術では無菌の調製粉乳を製造することは大変困難ですが、専門家会合の勧告の中で、関係業者に対し調製粉乳の安全性を高めるために実施すべき事項が示されています。

(*)この場合、栄養成分の変化、熱湯を使用することによる火傷の危険性など、栄養及びその他の要因について注意しなければなりません。調製粉乳は、調乳後は冷却し、適切に取り扱う必要があります。
参考1
2004年2月の専門家会合の報告によると、本菌は70℃以上の温度で速やかに不活化するとされています。
また、社団法人日本乳業協会は、上記の報告を踏まえ、医療機関に対し育児用調製粉乳について80℃前後の熱湯による調乳、又は調乳後一旦80℃前後に一旦加熱後冷却する方法を推奨しています。
参考2:2004年2月のFAO/WHO専門家会合の報告書概要 勧告部分(仮訳)

乳幼児が母乳哺育ではない場合、特に高リスクの乳幼児の保育者に対し、調製粉乳は無菌ではないので、重篤な病気を引き起こす病原菌に汚染されている可能性があることについて常に注意喚起する必要があり、またリスクを軽減する方法について情報を提供しなければならない。

乳幼児が母乳保哺育ではない場合、高リスクの乳幼児の保育者に対し、可能な限り、殺菌済みで液状の市販の乳幼児ミルクか、効果的な汚染除去手順によって調製した調製乳(例えば、熱湯で溶解する、あるいは溶解した粉乳を加熱する。)を使用するよう奨励すべきである。
リスクを最小にするための調製粉乳の調製、使用、取扱いについて指針を策定すべきである。

・乳幼児食品関係業界に対し、ハイリスクグループのための母乳代用食品について、多様な殺菌済み市販食品の開発を行うよう奨励すべきである。・乳幼児食品関係業界に対し、製造環境及び調製粉乳中の双方において本菌の濃度や陽性率を軽減するよう奨励すべきである。このために、乳幼児食品の関係業界は、効果的な環境モニタリングプログラムの実施や、生産ラインでの衛生管理の指標として大腸菌群ではなく腸内細菌科Enterobacteriaceae)の菌を用いた検査の実施を検討する必要がある。

Q6.調製粉乳中の本菌に関して国際規格はありますか?これらの規格は、どのようなレベルで安全性を確保するものですか?
A6.FAO/WHO合同食品規格委員会(食品の国際規格を設定する機関、以下「コーデックス委員会」という)が食品の国際基準を設定しています。調製粉乳について、現在のコーデックスの微生物規格では、本菌を含む大腸菌群と呼ばれている微生物の含有量を規定しています。この規定は、多くの食中毒の発生の防止に効果的であるものと考えられていますが、現在の規格に適合した調製粉乳を原因とする事故が発生していることから、現在の規格が十分な安全を保証しているとはいえません。
この新たな問題に関する情報を踏まえ、2004年2月のFAO/WHO専門家会合は、調製粉乳の微生物学的リスクにより的確に対応できるように、本菌の微生物規格の設定を含む国際規格に改訂に着手するようコーデックス委員会に勧告しました。

Q7.調製粉乳の製造者によって、調製粉乳中に混入する本菌のレベルに違いはありますか?
A7.現在、製造者によって調製粉乳中に混入する本菌のレベルが異なるということを示すデータはありません。

Q8.全ての地域と国で本菌によるリスクは同様ですか?
A8.数カ国の先進国でのみ、汚染された調製粉乳による本菌による感染症の事例が報告されています。すべての国で、実際よりも少ない報告数となっている可能性があります。報告が少ないのは、おそらく疾患の発生がないというよりは、むしろ本菌の問題が認識されていないことによるものと考えられます。一般に、現在の各国の監視システムに限界があることも、報告数が少ないことの理由であるかもしれません。調製粉乳は広く使われているので、調製粉乳中の本菌の存在やその乳幼児への潜在的な影響は、多くの国で公衆衛生上の重要な問題となり兼ねません。

Q9.調製粉乳で問題となる微生物は本菌だけですか?他にありますか?
A9.現行のコーデックス規格では、調製粉乳にサルモネラのような病原微生物が存在することは認められていません。調製粉乳中のサルモネラに関する現行のコーデックスの微生物規格では、60サンプル各々25gについてサルモネラが陰性でなければなりません。
 しかしながら、調製粉乳中のサルモネラに関連した疾患の発生が報告されています。

Q10調製粉乳ではなく母乳を与えることでこれらのリスクは避けられるでしょうか?
A10.最近の知見によれば、母乳哺育された乳幼児について本菌による感染症の報告はありません。50-80%の事例で、調製粉乳は本菌による感染症発生の媒介物にもなりうるし、また感染源にもなる(直接あるいは間接的)という情報もあります。
母乳哺育は、全ての場合で乳幼児に有益です。WHOの勧告では、乳幼児は生後6ヵ月間は完全な母乳哺育を実施すべきであり、また、補完食を与えながら、2歳頃までは母乳哺育を継続すべきであるとされています。
母乳哺育が行われなかったり、部分的にしか母乳を与えられなかった乳幼児は、下痢症に罹患したり、下痢症によって死亡するリスクが高いことは既に明らかになっています。
母親が母乳哺育を行うことできない、又は選択しない場合にあっては、上記Q4を参照してください。
http://www.who.int/foodsafety/publications/micro/summary.pdf

Q11.この問題を改善するためにどのような対応がなされていますか?
A11.FAOとWHOは、最初にこの問題を認識してから、それぞれの加盟国と連携してこの問題に関連するデータや専門的な知見の収集に取組んできました。この作業は2003年に開始され、現在、次の段階へ進むための十分な知見を収集しています。
FAO/WHO専門家会合が2004年2月にジュネーブで開催され、調製粉乳の製造方法、危険因子、疾患の発生率等の知見について調査し、FAO/WHO、コーデックス委員会及び加盟各国に対し、このリスクを管理し、発生を防止するための適切な方策(Q5参照)について勧告しました。この会合の報告概要は利用・閲覧可能です。
(報告書の概要)

Q12.この問題はどの程度重大なのですか?
A12.ほとんどの国で本菌に関するサーベイランスや報告のシステムが整っていないため、問題が実際にどの程度重大なのか明確ではありません。
問題の重大性は、通常、発生頻度や重篤性の観点から示されます。乳幼児の疾患の発生頻度は非常に低いようですが、疾患自体は非常に重篤です1961年から2003年までに英国の文献で報告された乳幼児の疾患を調査したところ、本菌によって誘発された症例が48例あることがわかりました。
米国の2002年Food Net 調査の結果では、1才未満の乳幼児において、本菌による感染症は10万人に1人の発生頻度であったとされています。
本菌による感染症の死亡率は、20%〜50%であると報告されています。また、感染により、特に重篤な髄膜炎や脳炎が併発した場合には、長期にわたる神経障害が発現する可能性があります。


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