妊娠・出産・育児

妊娠・出産・育児 は妊娠・出産・育児に関する基礎知識と情報提供、コミュニケーションや相談ができるママたちのコミュニティサイト

HOME インフォメーション 妊娠 出産・産後 赤ちゃんの成長と育児 ゲストルーム 掲示板 お役立ち情報 地域情報 育児日記 トピックス  リンク サイトマップ

子宮頸がんワクチン

【子宮頸がんとは】
子宮は全体として中空の西洋梨のかたちをしています。球形に近いかたちの体部は胎児の宿る部分であり、下方に続く部分は細長く、その先は膣に突出しています。この部分が頸部で、膣のほうから見ますと奥の突きあたりに頸部の一部が見えます。その中央には子宮の内腔に続く入口があり、この入口を外子宮口と呼んでいます。子宮頸がんは「子宮頚がん」と表記されることもあります。
婦人科のがんで最も一般的な子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)があります。
子宮頸がんは、この外子宮口付近に発生することが多いのです。普通の婦人科の診察でこの部分を観察したり、検査すべき細胞や組織を採取することが可能です。したがって、早期発見が容易なわけです。
頸部のがんは非常にゆっくり増殖しますが、がん細胞が子宮頸部に見つかる以前の初期に正常でない細胞が見つかります。この細胞を異型細胞と呼び、細胞診ではこの段階から診断することができるのです。
年齢別にみた子宮頸がんの罹患(りかん)率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後横ばいになり、70歳代後半以降再び増加します。近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。罹患率の国際比較では、頸部がんが途上国で高いのに対し、体部がんは欧米先進国で高い傾向があります。
ヒューマン・パピローマ・ウイルス(human papilloma virus:HPV)の感染が、子宮頸がん、特に扁平(へんぺい)上皮がんの確立したリスク要因とされています。子宮頸がん患者の90%以上からHPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤(しんじゅん)がんへの進展がみられやすいことがわかっています。子宮頸がんのリスク要因として、低年齢での初交、 性的パートナーが多い、多産、他の性 行 為感染症、が報告されていますが、その多くはHPV感染のリスク要因です。また、喫煙は確立したリスク要因とされています。その他、経口避妊薬の使用、低所得階層との関連性も指摘されています。子宮頸部腺がんについても、扁平上皮がんと同様に、HPV感染や経口避妊薬の使用との関連が指摘されています。

【子宮頸がんの症状】
初期の子宮頸がんでは、全く症状がないのが普通です。婦人科の症状がなくても、30歳のころから(結婚している場合は25歳くらいからでも)、2年に1回子宮がんの検診を受けることをお勧めします。集団検診の知らせがあったらよい機会ですから、おっくうがらずに受診しましょう。

【検査診断】
子宮頸がんは次のような段階で検査がおこなわれます。
【細胞診】
子宮頚部を綿棒などでこすって細胞を採取したものをガラス板に塗布し染色し、それを顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。
子宮がん検診はこの方法でおこなわれます。
【コルポスコピー】
細胞診で異常な細胞が見つかった場合におこなわれます。
子宮口の粘膜をコルポスコピーと呼ばれる膣拡大鏡で拡大し観察します。
【組織診】
コルポスコピーで異常が見つかった場合、その部分の組織を切り取って顕微鏡下で調べます。
【円錐切除術】
組織診で早期がんが見つかった場合、確定診断のために子宮頚部を円錐状に切り取って顕微鏡下で調べます。
【その他】
がんの進行期を調べるために、超音波検査、CT検査、MRI検査などがおこなわれます。


【子宮頸がんのステージ】
【0期】
がん細胞が子宮頚部の粘膜の上皮に発生し、そこにとどまっている状態のことをいいます。
【Ta期】
がん細胞が上皮の下の基底膜を破って浸潤している状態で、浸潤の深さは5o以内のことをいいます。
【Tb期】
基底膜を破ったがん細胞が5o以上の深さまで浸潤しているが、まだ子宮頚部以外には広がってない状態をいいます。
【Ua期】
がん細胞が膣壁面積の1/3以内まで浸潤した状態で、子宮を支えている子宮傍組織までは浸潤してないものをいいます。
【Ub期】
子宮を支えている子宮傍組織にまで浸潤がおよんでいるが、骨盤壁には達してない状態のものをいいます。
【Va期】
がん細胞が膣壁面積の1/3以上に浸潤している状態のものをいいます。
【Vb期】
子宮傍組織への浸潤が骨盤壁までおよぶようになった状態、がん細胞は子宮周囲に広がっているものをいいます。
【Wa期】
がん細胞が子宮以外の直腸や膀胱に粘膜にまで浸潤している状態のものをいいます。
【Wb期】
がん細胞が大動脈周囲、首のリンパ節、肺、骨、肝臓などに転移している状態のものをいいます。
子宮頸がんの各進行期の占有率は、初期がんである0期とTa期だけで半数異常を占めているといわれています

【それぞれの進行期における症状】
【0期】
症状はまったくみられことがほとんどです。ごくまれに後に出血があることがあります。
【T期】
ピンク色や茶褐色のおりもの増えます。後に出血がみられます。
【U期】
ピンク色や茶褐色のおりもの、臭気のあるおりものが増えます。後、排尿時に出血がみられます。
【V期】
骨盤底を走る神経が、増殖したがん細胞で圧迫されるため、腰痛や足などに痛みが出てくる。
尿管が圧迫されると尿が出にくくなることがあります。
【W期】
血尿や血便が出るようになります。排尿時に痛みを感じたり、便が出にくくなります。

【治療】
子宮頸がんには、外科療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つの治療法があります。
【外科療法】
(1)早期がんに対する治療 治療は以下のうちのいずれかです。 凍結療法:がん細胞を凍らせて殺します。 高周波療法:高周波を用いて電磁波の熱でがん細胞を殺します。 レーザー治療:レーザー光線を用いがんを殺します。
(2)手術治療 外科手術は最も一般的で、医師は以下の術式のひとつを用いてがんをとり除きます。 円錐切除術
がんが見つかった子宮の頸部組織を円錐状の組織として切除します。円錐切除は生検組織をとる診断的意味の他に、早期がんでは治療的意味も含んでいます。
単純子宮全摘出術
がんに侵された子宮を摘出する手術です。子宮が経膣的に摘出されれば膣式単純子宮全摘、腹壁を切開して行われれば腹式単純子宮全摘といいます。ときには、両側付属器切除術といい、卵巣・卵管も切除されます。
広汎子宮全摘出術
患部を子宮と膣の一部を含め、骨盤壁近くから広い範囲で切除します。子宮頸がんに関連する所属リンパ節も同時に切除します(リンパ節郭清)。通常、リンパ節は小豆のようなかたちをしており、全身に存在します。そして感染と戦う細胞を産生したり、貯蔵したりしますが、がんの時には転移したり、他臓器への転移経路となるのでとり除かなければなりません。手術障害については、「女性生 殖 器がん手術後の排便・排尿障害のリハビリテーション」をご参照ください。
骨盤内臓全摘術
がんが子宮頸部ばかりでなく女性外に拡がっていると、子宮・膣とともに下部結腸、直腸、膀胱をもとらなければなりません。これを骨盤内臓全摘術といいます。術後、人工肛門や回腸導管(回腸を用いて人工的に尿路を再建する)、造膣術など形成手術が必要となります。
【放射線療法】
放射線治療にはがん細胞を殺し、腫瘍を縮小するためにX線や高エネルギー線が用いられます。放射線は体外から放射線を照射する外照射か、がん細胞の認められる領域に薄いプラスチックチューブを通し、放射線を出すラジオアイソトープを使用したプラスチックを入れて治療する腔内照射とがあります。放射線単独で治療する場合と、手術と併用して治療する場合があります。 3)化学療法 化学療法はがん細胞を殺すための抗がん剤を使用します。薬剤は経口的に投与されたり血管または筋肉注射として投与されます。抗がん剤は血流に入り全身をめぐり、子宮頸部を越えて拡がったがん細胞を殺すので全身療法と呼ばれています。
病状に応じて、過去の治療成績に基づき、現在最も有効と認められている治療は「標準治療」と呼ばれています。一方、難治性の進行がんでは、標準治療を行っても、多くの場合満足できる結果をもたらすのは難しいことです。そのため、さまざまな新しい治療法が研究され、試みられています。新しい治療法は最新の情報をもとに、よりよい治療を目指して行われますが、必ずしも標準治療よりもよい結果をもたらすとは限りません。新しい治療法は担当医だけでなく、多くの専門家の認める理にかなった方法で、一定の管理のもとで行われる場合を「臨床試験」といいます。これから治療を受ける場合は標準治療を受けるのか、臨床試験中の新しい治療法を受けるのか、どちらかを選ぶことになります。

【再発】 再発とは、治療で完全に消えたようにみえてもわずかに残っていたがん細胞が増殖し大きくなって発見された状態です。骨盤内におこる局所再発と、肺や肝臓のような原発病巣から離れた遠隔臓器に転移する遠隔転移再発とに分けられ、それぞれ治療法も異なります。
(1)局所再発 以下のいずれかの治療が行われます。 骨盤内臓全摘術 放射線療法と化学療法の併用
(2)遠隔転移再発 病巣が孤立性であれば外科手術を、多臓器におよぶ再発や多発性の転移には化学療法が行われます。しかし、標準治療はなく再発部位に合わせ、一人一人に適切な治療を行います。


【子宮頸がんとヒトパピローマウイルス】
子宮頸がんは99%以上はHPV (Humanpapilloma virus) というウイルス感染が原因です。
HPVは100種類以上あって1型、2型は普通のイボをつくるウイルスです。このなかの16、18、31、33、52、58など特殊な型に感染したなかで遺伝要因や免疫力などが関連してがんに進行するひとがいるのです。
感染した人みんなががんになるわけではありません。
このウイルスは渉を介して感染します。
非常に多くの人(約8割の女性)が一生涯のうちに一度はこのウイルスに感染すると言われています。
特に、10代後半から20代前半の女性は、約半数がこのウイルスに感染しています。しかし、多くの場合、ウイルスは自然に備わった免疫の力で体から排除され、いなくなります。
ウイルスが子宮の出口(頸部)に長く感染し続けると、前がん状態さらには子宮頸がんへと向かいます。感染した女性の1,000人のうち1人ががんになっていくと考えられています。20代と30代の若い女性のがんのトップを占め、最近、若い女性で子宮頸がんで亡くなる方が増加してきています。

【子宮頚部がんの発生を予防するワクチンが平成21年12月より使用可能となりました】
【子宮頚部がんを予防するワクチンとは】
●ヒトパピローマウイルス(HPV)の中で、特に発がん性の強いHPVの感染を予防するワクチンです。
発がん性の強いHPVの感染を防ぐことにより、その後に発生する子宮頚部がんの発生を防ぎます。
だからこのワクチンは、接種後10年以降の子宮頚部がん発生を防ぐワクチンと理解してください。
なるべく若い時、または初回前の接種が勧められます。またはこれから新しい出会いの考えられる方に。
しかし、ワクチン接種前に感染したHPVを排除したり、すでに変性している細胞の進行予防効果はありません。
ワクチンの効果持続期間は確立されていませんが、多分10年以上〜数10年効くのではないかと予想されています。
また、発がん性HPV以外の原因による子宮頚部がん発生もありますので、ワクチン接種後も20歳過ぎたら年1回の
子宮がん検診をお勧めします。
ちなみにWHO(世界保健機構)や子宮頸がんワクチン承認国の勧告では、子宮がん検診はこれまでどおり継続すべきと強調しています。
【ワクチンの使用方】
@初回と、1ヵ月後、6ヵ月後の3回、ワクチンを接種します。
A料金は初回2万円、2回目3回目はそれぞれ1万5千円です。・・・今後変更する可能性があります。
B10才以上の女性に接種します。・・・40歳位までに??
【ワクチンの副作用】
@時に蕁麻疹、発熱、頭痛、疲労感、胃腸症状、局所の腫脹硬結などが発生します。
Aごくまれにショック症状が発生します。

【子宮頸がん予防ワクチンを12月22日に販売開始GSKが発表、薬剤費は3回接種で3万6000円】
グラクソ・スミスクライン(東京都渋谷区)は、子宮頸がん予防ワクチンの「サーバリックス」を12月22日から日本国内で販売すると発表した。サーバリックスの臨床試験は国内で06年4月から行われ、07年9月の承認申請から2年以上を経た09年10月16日に承認を取得。その後、国家検定という出荷前の検査を経て販売の準備が整った。
サーバリックスは、子宮頸がん発症の原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、子宮頸がんの約7割を占める二つのウイルスの型、HPV16型と18型の感染を予防する効果があるワクチン。6カ月の間に3回、腕の筋肉に接種すると、体の中にウイルスに対する高い抗体価が維持されて、これらの型のウイルスによる感染をほぼ100%防ぐ。
世界ではすでに101カ国でサーバリックスが承認されており、1100万回の接種実績がある。オーストラリア、イギリス、イタリアなどでは定期接種に指定され、10代前半の女性に公の費用負担で接種するプログラムが実施されている。
一方、日本ではサーバリックスは10歳以上の女性を対象とした任意接種のワクチンとなり、保険が適用されない自由診療で費用は全額自己負担となる。そのため、ワクチンを接種する医療機関により費用が異なるが、GSKが公表したメーカー希望納入価格は1回当たり1万2000円。(消費税は別、ほかに診察費などが別途かかる)。「12月22日の販売開始に向けて、医療機関に情報を提供している。現在、約1400の医療機関が高い関心を示しており、その中でも接種に必要な人員の確保といった準備が整ったところから接種が始まる見通しだ」とグラクソ・スミスクラインの平手晴彦専務は話す。ワクチンを受けられる医療機関は、産婦人科、小児科を中心に、内科などにも広がりそうだという。
国内では子宮頸がんにかかる人は年間約1万5000人で、約3500人が亡くなっている。20〜30歳代の女性に最も多いがんで、若年化が進んでいる。「がんを防ぐ手段の中で明らかなデータがあるものはごく限られている。たばこを吸わないこともその一つだが、それら以上に因果関係が明らかなのが子宮頸がんとHPVの関係だ。子宮頸がんは若い女性がかかるがん。本人の命を救うことはもちろん、後の世代に子供を残すという(社会的な)影響を考えても、ぜひワクチンの接種で患者を減らすべきだ」と、筑波大学人間総合科学研究科婦人周産期医学の吉川裕之教授は話す。
子宮頸がんやワクチンに関する一般向けの情報について、グラクソ・スミスクラインは「Allwomen.jp」というウェブサイトを設けて発信している。このサイトの中で、サーバリックスを接種できる医療機関の情報を近日中に掲載する予定だという。
なお、子宮頸がん予防ワクチンにはほかに米メルクが開発した「ガーダシル」もあり、国内では万有製薬が承認を申請中だ。
日経ヘルス 20009年12月10日



inserted by FC2 system